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笑顔の実り。vol.014

たかおか としかずさん|75歳

堺市 美原区 高岡 敏一さん

愛される植木

1_接ぎ木_1838

接ぎ木した枝。テープがなければ、接ぎ木だと分からないくらい自然

2_テープ伸び-る_1858

テープ(左下写真の黄色いほう)は伸縮性があり、よく伸びる。枝はピッタリと張り付き、固定する。時間が経つと、テープは自然に剥がれる。

植木への愛情、そして試練

父親の後を継ぎ、農家の道に足を踏み入れた高岡さん。当時はキュウリや白菜など、植木以外にも様々な農産物を作っていたそうだ。しかし、現在は自宅用の農産物を育てる以外は、植木一本。365日植木と向き合いながら、育成に情熱を注いでいる。 「植木を一本育てるのに、大体5~6年かかります。大体の形を作ったあと、細かい調整を加え、形を整えていくのです。手間がかかるぶん、仕上がった時の喜びはひとしおです。」 たっぷりの愛情と時間をかけて、植木を育てている高岡さん。しかし、時には病気によって、努力が水の泡になる事もあるという。 「以前、植木の葉に斑点が現れ、次々に葉が落ちた事がありました。慌てて西浦営農経済センターに相談に行くと、植木が病気にかかっている事が分かったんです。病気の菌はどんどん広がり、周囲の木にも同じ症状が現れ始めました。その時は、『被害を食い止めるためには木を焼くしかない』と言われ、泣く泣く焼いて対処しました。今は毎年、予防の薬をまいて病気を防いでいます。」 病気、台風、雪害、日照不足・・・。自然相手の農業は、毎年何が起きるか分からない。ひとつひとつ症状を見極めながら、その場で対処していくしかないのだ。

変身

6~7年前、知人に教えられ、「接ぎ木」と出会ったという高岡さん。「接ぎ木」とは、2つの植物を人工的な切断面で結合し、1つの植物とする接木技術。高岡さんは近年、植木に接ぎ木の技術を取り入れている。 高岡さんは異なる2つの植物が1つの個体に融合していく様子を、「変身」という独特の表現を使い、説明してくれた。 「接ぎ木を一言で表すなら、まさに『変身』。2~3センチの小さな枝が、植物に根付き、1~2年でグングン伸びていく様子は、まるで別の植物に『変身』していくよう。毎日見ていると、変化がよく分かります。」 接ぎ木の魅力については、こう語ってくれた。 「接ぎ木をすれば、枝の付いていないところにも枝を生やすことが出来る。自分の思った通りの形に育てることが出来るんです。入れたいところに枝が綺麗に入ったり、狙い通りの形に成長した時は、やっぱり嬉しいですね。」 良い事尽くしの接ぎ木だが、いつでも自由に行える訳ではない。タイミングを見極め、短期間で作業を終わらせなければいけない。 「接ぎ木が出来るのは、4月の2~3週間の間だけ。効率的に行うためには、事前にスケジュールを組み、準備をする必要があります。また、植木の種類や根の張り具合によってタイミングをずらしたり、個別に対処しています。」 接ぎ木には、短期間で処置をおこない、個別のパターンに対応する技術と経験が必要なのだ。

3_接ぎ木道具_1854

高岡さんが愛用する接ぎ木用の道具

長く愛される

植木の魅力について尋ねると、高岡さんは笑顔で答えてくれた。 「形を整えたり、接ぎ木をしたり工夫することで、自分の思った通りの形に作れるところが魅力的です。それに、長い間お客さんに見てもらえるところも良いですね。当たり前ですが、野菜や果物は食べたらそこで終りです。でも、植木はお客さんの手元に渡ってからも、ずっと残る。手塩にかけて育てた植木を、長い間お客さんに愛してもらえるのは、幸せな事です。」 質の高い植木を育てるため、自然と闘い、「接ぎ木」という新たな技術を習得した高岡さん。 穏やかな笑顔の裏には、たゆまぬ努力が隠されていた。

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