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笑顔の実り。vol.016

しばいけ かつひろさん|50歳

羽曳野市 南恵我之荘 芝池 勝裕さん

「野菜を出荷する」のではなく「食材を納品する」

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育てている小松菜。品種は「いなむら」で、1年を通じて作り続けている。

今寅農園画像_CIMG0172

使う側から作る側へ

外食産業に身を置き、フードコーディネーターとして活動するなど、野菜を「作る」立場ではなく、「使う」立場にいた芝池さん。消費から生産へ、正反対の立場に転身した背景には、何があったのだろう。 「事業を始めるために、経営について学びたかったんです。経営の専門学校に通うという方法もありますが、農業をおこない、実際の流通の現場を見たほうが身に付くと思いました。あとは、一度作る立場に立たないと、生産者と対等に食の話が出来ないと感じたのも理由の一つです。体験してみて初めて分かる事って、沢山ありますから。」 さっそく、芝池さんは1反だけ畑を借り、農業を始めることにした。幸い、父親が農業をおこなっていたので、必要な道具や機械は揃っていたそうだ。「5年間」という期間を設け、1反の範囲で、たった1人で農業をおこなった時、どれくらいやれるのか。日々データを取りながら、懸命に農業に打ち込んだ。 「365日、ほぼ休みなしで農業と向き合っています。やろうと思えば、仕事は無限にありますからね。農業をおこなう中で心掛けているのは、既成概念に囚われず、自由な発想を持つこと。今までの農業の概念を取り払うつもりでおこなっています。」

小松菜ひとすじ

芝池さんは当初、レストラン向けのハーブや西洋野菜を作ろうとしていたそうだ。 「高値で取引されているこれらの食材を、料理人にとって身近に手に入るものにしたかったんです。」 外食産業に関わっていた、芝池さんらしい視点だ。 しかし、ある人から生産者が少なく、需要に反して数が足りなかった小松菜を作って欲しいと頼まれ、方向転換する事に。現在に至るまで5年間、小松菜ひとすじで作り続けている。 「旬の野菜を出荷すると、どうしても値段が崩れてしまうので、小松菜1本に絞り、年間を通じて作り続けています。寒暖差はありますが、栽培の計画と段取りをし、基本となる土づくりをしっかりしておけば、季節を問わず作り続ける事が可能です。」

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大きさや茎の太さに合わせて、きっちりと袋詰めされた小松菜。見た目の綺麗さだけではなく、調理しやすさを追求した結果、このような包装になった。

以前の出荷

従来、あまり意識される事の少なかった「調理する人」に対するまなざし。外食産業に携わっていた芝池さんならではの視点だ。

食材を納品するという意識

出荷の際、芝池さんがこだわっているのは「鮮度」と「見せ方」。元々、食材を「使う」立場だった事もあり、「野菜を出荷する」のではなく「食材を納品する」という考えのもと、調理する方が使いやすいカタチで提供する事を心掛けているそうだ。 まずは、鮮度に対するこだわりについて伺った。 「小松菜は収穫したあと水で洗い、すぐに冷蔵庫に入れるようにしています。そうする事によって、小松菜が水を吸い、鮮度が復活するのです。直売所に訪れるお客様は、朝一番に来るとは限りません。この方法を使うと、閉店間際の夕方に来るお客様にも、鮮度を保ったまま提供出来ます。鮮度は人間の手によって作る事が出来るのです。」 続いて、見せ方に対するこだわりについて伺った。 「一口に小松菜と言っても、太い茎、細い茎、長い短いと、一つ一つ特徴が違います。バラバラの茎が袋に入っていると、調理する人は大変。大きい小さいで火の通りが違いますから、茹で時間の調整が面倒ですし、使い勝手が悪いのです。 そのため、調理する人の事を考え、出来るだけ同じ太さ、大きさの茎をまとめて袋に詰めるようにしています。丈が揃うと、必然的に袋詰めしていても、綺麗に見えます。よくお客様に、綺麗に袋詰めされているわね、と声を掛けて頂くのですが、丁寧に袋詰めをしているのは、単に綺麗に見せたいからではありません。そこには、快適に料理をおこなって欲しいという、こだわりがあるのです。」 お客様は直売所で商品を買ったら、帰って袋を開くまで、食材の状態が分からない。まな板の上で鮮度が悪かったり、大きさがバラバラな事が分かっても、もう取り返しがつかない。だから、出来る事はやっておかなければいけないと、芝池さんは語る。

少しの工夫

お話を伺ううち、話は農産物直売所「あすかてくるで」の話題に。芝池さんに、直売所に対する率直な意見を伺った。 「現在、あすかてくるでに出荷しています。意見というか、こうしたら良いんじゃないかなと思うのは、出荷者の農産物を使用した試食コーナーを充実させること。お芋をふかして置いておくだけでも良いので、お客さんが商品を味わう機会を作って欲しい。ちょっとした工夫で、お客さんの興味を引くことが出来ると思うんです。」 2時間近く続いた今回の取材、アイデアマンの芝池さんは、これ以外にも沢山の、多岐にわたる意見を聞かせて下さいました。期待に沿う事が出来るよう、当JAも精一杯努力して参ります。

もう少し回り道

5年間農業に全力を尽くした後、芝池さんは新たな事業を始める予定だったが、5年目の今年、思いがけない出来事があったそうだ。 「当初は、5年経ったら新たな事業を始める予定でしたが、このたび今在家地区の実行組合長を務めることになり、就農期間が伸びることになりました(笑)。任期中はしっかり役目を務めさせて頂いて、その後については、ゆっくり考えようと思っています。」 農業の経験を活かした新たな事業にも期待大だが、もう少し農業の第一線で活躍する芝池さんの姿を見る事が出来るのは、嬉しい限り。 「使う」立場から「作る」立場へ。新たな視点から様々なアイデアを生み出す芝池さん。次はどんな事で私達を驚かせてくれるのか、期待は尽きない。

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