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笑顔の実り。vol.020

ないみ かずみさん|90歳

河内長野市 加賀田 内見一美さん

この里を守りたい

1_農作業

取材当日は猛暑日。農作業に帽子はかかせない

2_黒米

レストランに出荷するため育てている黒米

この里を守りたい

待ち合わせ場所は内見さんの自宅。市街地から車で10分ほどの距離だ。お話を伺うべく車を走らせると、目に飛び込んでくるのは豊かな自然。目的地に近づくたび、緑が濃くなっていく。市街地のすぐそばで、こんな風景に出会えたことに驚く。 内見さん宅のある河内長野市 加賀田は、川や田畑に囲まれた自然豊かな地域。澄んだ川や田園風景、忙しく飛び回るトンボを見ていると、「古き良き日本の夏」という言葉を思い出す。同時に、この風景を未来に残したいという思いに駆られる。初めて来た記者がそう思うのだから、ここで生活している人々の想いはもっと強いだろう。 「自分の生まれ育った故郷ですからね。出来る限りは、この里を守っていきたい」 穏やかな、しかし力強い瞳でそう語る内見さん。 しかし、近隣では空き家が増えており、周辺の過疎化が進んでいる。人の住まなくなった土地は荒れる。内見さんも「なんとかここで食い止めたい」と歯がゆそうな表情。 内見さんに限らず、過疎化が進む故郷を守るため、どうすれば良いのか頭を悩ませている人は多いだろう。そんな人にとって、今回の「天地人」は問題解決のヒントとなるかもしれない。一人ではどうしようもない事でも、皆で助けあうことで、新しい「道」を切り開く事ができるのだ。

組織の役割

内見さんは現在90歳。凛とした佇まいは年齢を感じさせず、しっかりとした足取りで歩く様子は元気そのもの。取材当日は猛暑日だったが、汗を拭きながら田畑まで案内してくれた。しかし、そんな内見さんでも、体力的な限界を感じることがあるそうだ。 「農機具の機械化が進んではいますが、農業には労働力が必要不可欠。高齢者が農業をおこなうのは大変です」 農業は体力勝負。高齢者に限らず、農業を続けるには何かあった時にフォローしてくれる人の存在が絶対に必要だ。内見さんの場合、仕事の傍ら農業を手伝う息子さんがいた。だから、しんどい時は助けてもらうことが出来た。しかし、多くの場合は担い手がおらず労働力不足に悩むのが現状だ。結果、年齢と共に田畑を維持出来なくなり、放置して荒れ地となってしまうのだ。 荒んでいく故郷の現状を打破すべく立ち上がったのは、昨年定年を迎えた内見さんの息子さんだった。 「最初は知り合い同士で農業を助け合うためにNPO法人を立ち上げたのですが、『高齢で田畑の維持が難しいので、うちの土地で農業をやってくれないか』という依頼がくるようになり、耕作面積が増えていきました。依頼された田畑は、皆で手分して管理しています」 思いがけず舞い込んできた依頼がきっかけで、作業量が増えていった息子さん。個人では限界があるが、組織だからこそ出来ることがあると語ってくれた。 「貸農園にして農地を守るという方法もありますが、借りる人の殆どは趣味でやっていますから、長期的な目で見ると難しい。貸している人が何らかの事情で農業が出来なくなった時、また田畑は荒れ地に逆戻りしてしまいます。組織を介すと、何かあった時は誰かが助けてくれるからフォロー出来ますし、長期的に農地(里)を残す(守る)事ができます」 一人で出来ないなら、皆で助け合えばいい。しっかりとした将来のビジョンを語る息子さんの横で、内見さんは「うんうん」と、頼もしそうな表情で頷いていた。そして、そんな内見さんを見ながら「でもね、私はまだまだ農業の素人。実際に田畑で作業をする時は、父に頼りっぱなしなんですよ。知識があっても、経験には勝てません」と、息子さん。内見さん、今度は嬉しそうに、「うんうん」と頷いていた。

3_豊富な水

水がゆたか。水路から水を引き、田を潤している

4_息子さんと

現在、息子さん(右)と共に農業をおこなっている

未来につなぐ

取材日、内見さん宅には3歳のひ孫さんが遊びにきていた。 「普段は都会暮らしだから、田んぼや畑が面白いみたいですね。そこらじゅう駆け回って遊んでいますよ。農作業を手伝ってもらったり、あすかてくるで河内長野店に出荷する時は、早起きして手伝いもしてくれるんです」 ひ孫さんを見つめる内見さんは優しい笑顔。「将来の後継者ですね」と記者が言うと、「いや、まだ分かりませんけどね。孫やひ孫たちのうち、農業をやりたいと思った誰かが継いでくれれば、それでいいんです」と笑った。「こども達がこの土地を継いだとき助けになるよう、NPOの活動も続けていくつもりですしね」と、息子さん。 みんなで助け合って生きていこう。この美しい故郷を守るために。 里を守りたいという内見さんの想いは、こうして次世代に受け継がれていく。

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