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笑顔の実り。vol.033

なかむら かずとしさん|33歳

大阪狭山市 大野 中村 一俊さん

誰もみたことのないぶどうを求めて

大野ぶどうはその名の通り、大阪狭山市の大野地区で作られる「ブランドぶどう」だ。100年の歴史があり、大阪狭山市果樹振興会の会員が栽培している。特にデラウェアは有名で、他産地のぶどうより渋みが少なく、糖度が高いのが特徴だ。販売は生産者による直売方式。収穫のピークを迎える7月~8月は、多くの人が直売所に詰め掛ける。 とりわけ「中村オリジナルぶどう園」は、大野ぶどう直売所の中でも注目の店だ。人気の秘密は、独自に開発したオリジナル品種を販売していること。デラウェアだけでなく、店頭には様々な品種のぶどうが並ぶ。メディアで取り上げられることも多い。 伝統あるぶどう園を継ぐのは、4代目の中村一俊さん。大学農学部卒業後の23歳で就農し、今年で10年目だ。 「学生時代から仕事を手伝ってたけど、実際にぶどうを育ててみると分からないことばかり。まだまだ勉強の日々です」 今回は、ぶどうの栽培に情熱を注ぐ一俊さんに迫る。

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オリジナル品種の中でも「紅しずく」は特に人気の商品。府外から買いに来る人もいる。

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オリジナルワイン/長野県の工場までトラックを運転し、ぶどうを運ぶ。種類が豊富なので、お料理に合わせて選んでも◎。

誰も見たことのないぶどうを求めて

中村オリジナルぶどう園に代々伝わる精神は「他の人とは違う、面白いものを作る」。その思いのもと、一俊さんの祖父、良雄さんはぶどうの品種改良をスタート。父、惠俊さんも交配を続け、生まれた品種は10を超える。果汁が多くとろけるような食感の「いちご」や、ワインの風味がする「ワインブラック」など、ユニークな品種も多い。 1つの品種を確立するのに10年かかる。2つの品種を掛け合わせて種をとり、良いものを選んで育てる。また種を収穫し、それを育て…と同じ作業を繰り返し理想のぶどうに近づけていく。色も味も、掛け合わせてみないと分からない。黒いぶどうを掛け合わせても赤になったり、美味しいぶどう同士でもまずくなることも。今まで品種改良に成功したものも、偶然のたまものだという。 「失敗したぶどうの木は切ってしまいます。祖父の代から今まで、何本の木が切られたんだろう」 作り方が確立された既存の品種なら、生みの苦労なくぶどうを栽培できる。それでも品種改良にこだわるのは、中村家のチャレンジ精神ゆえだろう。消費者にとっても「ここでしか食べられないぶどう」は魅力的だ。 一俊さんにハウスを案内してもらうと、いたるところに開発中のぶどうがあった。この中から、未来の人気ぶどうが生まれるのかもしれない。

加工品への挑戦

ぶどう100パーセントのジュースやワインは、直売所で人気の商品だ。使用するのは粒が不揃いで、見た目が良くないぶどう。正規品と味は変わらないが、今まで廃棄してきた。 「味は良いのに、販売できないぶどうを廃棄するのは悔しかった。他のものに利用したいけど、製造の免許がないので二の足を踏んでいたんです。3年前、製造作業を委託することを思いつき、加工品の販売を始めました」 ワイン、ジュースは10種類以上のラインナップがある。ぶどうは季節限定だが、加工品は通年販売できるのが強みだ。

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ぶどうジュース/ぶどう100%なので味が濃く、濃厚。底に沈む結晶はぶどうに含まれる「酒石酸」。女性に人気の商品。

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ずらりとぶどうのハウスが並ぶ

プレッシャーのその先へ

毎年、ぶどうは完全に味がのってから販売する。納得できるものしか売らず、来年以降に響くと感じたら、店に置かないこともある。プロの厳しいチェックが、ぶどう園のブランドに繋がっている。 「対面販売なので、お客さんから駄目だしをもらうこともあります。『今年は微妙』と言われると、ドキッとしますね。店頭に立つ間は気が抜けません」 一俊さんの顔がこわばる。常連客が多く、ぶどうへの期待は大きい。毎年失敗できない恐怖と戦っている。 今年のぶどうについて尋ねると、一転して笑顔になった。 「ぶどうは雨に弱いんですが、今年は雨が少なかったので、とても良い出来です。これなら安心して店に出せますね」 プレッシャーより、その先にある喜びのほうが大きい。消費者に美味しいぶどうを届けるため、一俊さんの挑戦は続く。

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