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笑顔の実り。vol.037

まつい としふみさん|46歳

太子町 春日 松井 登志文さん

ひとりじゃないから

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ホテルマンから農家へ

ブドウ農家の松井さんは、元ホテルマンという経歴の持ち主だ。10年前まで、フロントやレストランなどの接客として働いていた。どうして、全く違う世界に飛び込もうと思ったのだろう。 「実家がブドウ農家で、いつか継ごうと思ってました。休みの日に手伝うことはあっても、農業は素人。身体が動くうちに、父から技術を学びたかったんです」 しかし、就農から1年ほどで父親が亡くなり、急に独り立ちを余儀なくされた。 「突然だったので、どうすればいいのか分かりませんでした。困っていた私を助けてくれたのは、近所の畑のおじさんや、親戚達です。農業で分からないことは教えてくれました」 最初の1~2年は上手く作れず苦労したが、周りの支えのおかげで、少しづつ栽培は軌道に乗り始めた。

あえてデラウエア

最近は大粒の高級ブドウが人気だが、松井さんはあえて小粒のデラウエアを栽培している。 「デラウエアを栽培していた人が、大粒ブドウに乗り換えている。でも、手ごろな価格で美味しい、庶民の味方『デラウエア』も必要なはず。それに、作る人が減り出荷数が少なくなったので、以前より価格が安定しています」 市場関係者から声をかけられる事も多く、需要の高まりを感じているそうだ。

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一瞬で味が決まる

松井さんは「美味しいブドウを作るには、ジベ処理や剪定が重要」と語る。 ジベ処理とは「ジベレリン」という植物成長調整剤に房を浸す作業で、ブドウの種を無くすことが出来る。また、ジベレリンには実を大きくする効果もある。 「ハウス栽培だと一つ一つ成長のスピードが違うので、房によって時期を見極め、ジベ処理をしています。タイミングがずれると上手くいかないので、毎日チェックしています」 剪定も大切だ。一枝に大体3~4房のブドウが出来るが、それを2房ほどに間引く。実が多すぎると木に負担がかかり、栄養が行き渡らない。また、余分な枝を切って満遍なく日光を当てることで、ブドウは甘くなる。 「剪定と2回のジベ処理、雨をよけるための傘かけ(ブドウを白い紙で覆う作業)など、最低でも一つの房に4回手を加えています。大変ですが、最後の傘かけの時にブドウを見ると、成長を感じて嬉しくなります。形が良く甘いブドウを作るには、手間をかけるしかありません」 松井さんの汗と努力が、美味しいブドウを生み出している。

太子町ぶどう塾

太子町はブドウ栽培が盛んな地域だ。しかし近年では、後継者が見つからず畑を畳む人もいる。そんな状況を打開するため、平成12年より「太子町ぶどう塾」の取組みが始まった。太子町、特定非営利活動法人太子町ぶどう塾、当JAが主催し、1年間かけて参加者に栽培のノウハウを伝える。卒業生の一部は「援農隊」に所属し、有償でブドウ農家の支援活動をおこなっている。松井さんも、援農隊を利用する一人だ。 「少しだけ塾生にアドバイスしたことがあり、その縁で利用するようになりました。一般の方を手伝いで雇いたくても、ブドウの粒間引きなどは経験者でないと出来ません。そんな時、援農隊があって良かったと感じます」

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変わらぬ「助けあい」

援農隊にハウスのビニール張りを手伝って貰うと言うので、その様子を取材させて頂いた。松井さんの畑に伺うと、既に一仕事終え、レジャーシートの上でくつろぐ皆さんの姿があった。この日集まった援農隊メンバーは8人で、太子町出身でない人がほとんど。松井さんを「若手のホープやで」と話し、打ち解けた雰囲気だ。メンバーの女性は、作業の合間に珈琲を飲みながら話すのが楽しいと笑う。 少し休むと、すぐに作業は再開された。保温効果を高めるために、ハウス内側の天井にビニールを張る。2人1組で両端に別れ、ブドウ棚の上に持ち上げたビニールを片側から引っ張る。お互い「いくで」、「はーい」と声を掛け合い、手際よく進めていく。この作業を一人でおこなうと、かなりの時間がかかるだろう。 「昔は親戚や友人とチームを組んで作業してたけど、メンバーの高齢化が進んだ今では難しい。今では援農隊が、その代わりになってくれています」と、松井さん。 メンバーは変わっても「助けあい」の精神は変わらない。「ひとりじゃない」という思いが、松井さんの農業を支えている。

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