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笑顔の実り。vol.039

あずま きみこさん|76歳

羽曳野市 碓井 東 君子さん

農業との出会い

羽曳野市はイチジク栽培が盛んな地域。この地に嫁いできた東さんは、ご主人を手伝うため農業の道に足を踏み入れた。農作業は始めての経験だったが、良いものが出来ると面白くなってくる。しばらくしてノウハウが身につくと、独立して自分の畑を持つことにした。 「パートだと時間が決まってるけど、農業だと自分のペースで働けるやろ。売れるとお金になるし、やってみようと思った。周りには『家事や育児と両立して、よくやるなあ』って言われたけど、若かったからねえ」 当時を懐かしそうに振り返る。現在は後を継いだ息子さんのフォローに回っているが、まだまだ若者には負けない。 今回は、バイタリティあふれる東さんの農業人生をひも解く。

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育てたイチジクの写真「美味しそうでしょ?」と東さん

栽培のこだわり

東さんの朝は早い。前日の昼に収穫したイチジクを、夜中の2時に市場へ出荷している。「眠いし、寒いし、朝は大変。この作業だけは誰も代わってくれへんわ」と笑う。出荷したイチジクは市場の職員が厳しくチェックし、東京や名古屋など全国に送られる。大阪府内では、百貨店の売り場にも並ぶ。 「市場の人とは長い付き合い。良いものを作ったら正当な値段で買い取ってくれるから、やりがいがある。毎年質の良いイチジクを出荷できるよう頑張ってます」 甘く、ツヤのあるイチジクを作るために気をつけているのは、肥料・病害虫の予防・水の管理の3つだ。肥料は、骨粉など用途に合わせて適切な時期にまいている。病害虫の予防は、1週間おきに徹底しておこなっている。 「息子達にもよく言うけど、予防は1回でも抜けたらあかん。見た目は綺麗でも、中に虫が入って黒くなってることもある。変なものが混じっていたら、出荷先との関係が台無しになるからね」 引き締まった甘い実にするため、水はほとんど与えない。東さんの住む羽曳野市 碓井地区は「掘れば水が出る」と言われるほど、水の豊富な土壌だ。水遣りしなくても、イチジクが根をはって水を吸ってくれる。葉の様子を見て決めるが、夏でも1度しか水をやらないこともある。 「同業者にイチジクをあげても、東さんの作ったやつは美味しいと言ってくれる。これからも品質を落とさないように、努力していきたい」

任せれば上手くいく

10年ほど前に足が悪くなり、東さんは世代交代を意識するようになった。試しに、息子さん達に「農業やってみる?」と持ちかけると、元気良く「やる!」と返事が返ってきた。東さんは「よう継いでくれたなあ」と当時を振り返る。 「2人の息子のうち、兄は勤めながら夫婦で、弟は嫁が中心になってイチジクを作ってます。どんな作業も1人でこなす嫁を見ていると、若いときの自分以上に行動力にあふれていて『すごい!』と思うわ。みんな、よく頑張ってくれてる」 後継者がおらず悩む農家も多い中、どうしてスムーズに世代交代が進んだのだろう。東さんは「子どもに任せると上手くいく」と語る。 「自分で考えてやるから面白い。親が口を出すと、子どもは嫌になるんちゃうかな。頑張った分が収入に繋がると分かれば、若い人もやろうと思うのでは」 親に指示されて動き、アルバイト代を貰うのでは、子どものやる気は育たない。あくまで親はフォローに徹し、自分で考えて動く。その対価として収入を得ることで、始めて農業は面白くなるのだ。

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厳しい冬を越えるため、シートを被せて木を守る

やりがいの育てかた

「うちは息子達が継いでくれたけど、周りの農家は今の代で終わりの人がほとんど。なかなか難しいみたいやね」 羽曳野産のイチジクが消えてしまうのは寂しい。後継者問題は簡単に解決しないが、東さんの例は一つのヒントになるかもしれない。 子どもを信じて任せること、正当に評価してくれる売り先を確保すること、頑張れば収入に繋がると気付くこと…。東さんが息子さん達に示したように、条件さえ揃えば、若い人も農業に興味を持ってくれる。「やりがい」は、作ることが出来る。 「厳しい状況やけど、嬉しいニュースもある。最近、息子の同僚が新しく農業を始めたと聞きました。去年から、うちのイチジク畑に習いにきてるみたい。若い人が少しでも農業に興味を持ってくれたら嬉しいわ」 少しづつだが、次世代の芽は育っている。東さん一家には、これからも羽曳野市の農業を盛り上げていって欲しい。

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