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笑顔の実り。vol.040

いわね けいしさん|68歳

富田林市 五軒家 岩根 敬士さん

体力で乗りきる

父親が専業農家の岩根さんは、幼いころから両親の畑仕事を手伝っていた。農業機器が発達した今と違い、昔はほとんどの作業が手作業だ。米や野菜に加えて植木も栽培していたので、やることは沢山あった。 学校卒業後に就職し、自動車の修理工になった後も、空いた時間は農業のために使った。日暮れから朝まで職場で働き、家に帰ると少しの睡眠をとり、畑に出た。耕運機で土を耕して体がクタクタになり、夜に仕事に行くと、しんどくて歩けないこともあった。55歳に仕事を辞めるまで、ハードな兼業生活は続いた。 「若いころからずーっとこんな生活なので、仕事は苦になりません。今も妻と2人で農作業してるけど、楽しんでやっています。作るのが好きなんです」 どんなに忙しいときも乗り越えられるのは、若いころから鍛えた体力と、強い心のおかげだ。

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美味しいお米を作る秘密

米、ジャガイモ、タマネギ、エンドウなどの農産物は、近所の方に販売している。1番人気があるのは米で、作業しているとお客さんから「今年もまたお願いね」と声をかけられるそうだ。 人気の秘密は、米の乾燥方法にある。収穫した籾を乾燥させるとき、今までは乾燥機で一気に熱を加え、短時間で仕上げてきた。しかし、この方法は米に負担がかかるため、食味が悪くなる。そこで、長時間送風して乾燥させた後、少しだけ熱を加えることで、ゆっくり米から水分を抜くことにした。今までの2倍以上時間がかかるので、かなりの手間だ。それでも、「待っている方達の期待に応えたい」という思いから、ひと手間かけて作っている。 そのおかげか、お客さんから「お店で買ったお米より、岩根さんの作ったお米が美味しいわ」と好評だ。量が足りなくなるほど、口コミで販売先も増えた。 「妻と2人で作業しているので大変だけど、今は機械も便利になったし、美味しいものを届けたいという気持ちで作ってます」と、岩根さんは語る。 面倒だと思わずに手間をかけることで、米はぐっと美味しくなる。

1本1本に合わせた対応を

米や野菜栽培の傍ら、植木の剪定もおこなっている。岩根さんの住む富田林市 五軒家地区は、昔から植木栽培の盛んな地域だ。7月から12月にかけて、近所に住む植木屋仲間4人でグループを組み、依頼先を回っている。 植木を美しく仕上げるコツは、毎年同じように切ること。植木は毎年大きくなるので、同じラインでカットしないと、どんどん大きくなってしまう。木を見れば昨年切ったラインが分かるので、それに合わせてカットする。枝は太くしても、丈は大きくしないのが基本だ。 しかし、中には例外もある。つげやヒイラギなどは、ハサミと相性が悪い。切ると枯れる恐れがあるので、ハサミをゆるく入れ、形だけ整える。 「木によっては、乾燥している冬に切ると枯れてしまうこともある。葉が生えている時に切ると、枝に水分がいきわたっているので枯れにくいんです。木によって剪定の時期を変える必要があります」 お客さんから切ってくれと依頼されても「今切ったら枯れてしまう」と断ることもあるそうだ。 現場で木の状態を見極め、個々に対応する知識と経験が大切だ。

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怖いと思ったら辞めどき

木を切るときは、はしごに登って不安定な姿勢で作業する。安全には気を配るが、落ちれば怪我をすることもある。 「いつも一緒に回っている仲間も、高い木から落ちたことがある。下が土だから助かったけど、一歩間違えば大怪我につながるからね。それを恐ろしく感じたら、その瞬間から植木の剪定はできない。農業には定年がないけど、植木屋は怖いと思ったら辞めどきだと思う」 岩根さんは笑いながらも、真剣な瞳で語った。さいわい、まだ高いところから落ちたことも、怖いと思ったこともないそうだ。 「奥さんと一緒に、身体が続く限りは頑張りたい。たまに同級生と飲みに行ってガス抜きをしながら、長く続けていけたらいいなあ」と笑う。 幼少期から現在に至るまで、農業に関わり続けている岩根さん。休まず、ずっと作り続けることは大変だったはずだが、その苦労を感じさせない笑顔が印象的だった。 毎年米や野菜を楽しみに待つお客さんや、美しい庭の景観を保つため、引退はまだまだ先になりそうだ。

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