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笑顔の実り。vol.041

しんくま かずおきさん|58歳

羽曳野市 伊賀 新熊 一起さん

地域の中で生きる

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脱サラして農家へ

農家で育った新熊さんは、幼いころから畑仕事を手伝っていた。当時は栽培面積が大きく、作業量が多かったので、子供も働き手の一人だった。 「学生時代から、自然と両親を手伝っていました。収穫の時期は特に忙しいしね」と、当時を振り返る。 しかし、大学を卒業して食品会社に勤めると、そんな余裕は無くなった。営業職で、朝早くに出社し、夜遅くに家に帰る日々。毎日とても忙しく、畑仕事を手伝える状況では無かった。仕事と農業の両立に悩みながら、新熊さんが会社を辞める決心をしたのは、39歳の時だった。 「父が高齢なこともあり、病気がちになったんです。いずれは家を継ぐので、早く安心させてあげたいと思い、農業を始めました。残念ながら17年前に亡くなったのですが、今は母と一緒にエンドウやジャガイモ、タマネギなどを育てています」

地域の中で生きる

家を継いでから、新熊さんは自分の住む地域について考えはじめた。祖父や父親は村の役を務めており、地域のまとめ役だった。しかし、息子の自分は家のことは分かっても、近所で起きた事は何も知らない。しだいに「このままでいいのだろうか。自分も地域のために何か出来るはずだ」と考えるようになった。 「自分の畑さえあればいい!と言うこともできるけど、そうはしたくない。地域というコミュニティの中に、自分の畑があることに気付いたんです。困ったときに、みんなで支えあえる関係を作りたい」 特に農業は、お互いに情報交換をしたり、ご近所付き合いが大切だ。しかし、昔と比べて今は「繋がり」が生まれにくい。 「昔は栽培面積の大きい農家が集まって、村を支えていた。でも、だんだん農地の数が減り、今は小規模の農家があちこち点在している状況です。みんなで集まる機会が無いから、繋がりが生まれない。私の役割は、みんなが話をする機会を作り、一つにまとめることだと思うんです。特に、コミュニティから離れていきがちな次世代の農業後継者が、これから地域ぐるみで農業をやりやすい環境を整えたい」 祖父や父親が地域をまとめていたように「地域と、若い世代の橋渡しがしたい」と新熊さんは語る。

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呼びかけ続ける

橋渡しの第一歩は、まず若い人達に地域の集まりに来てもらうことだ。新熊さんは、地元の水利組合や消防団など、様々な組織に所属している。しかし、今まで地域と関わりが薄かった若者を、突然集会に呼ぶのはハードルが高い。どうやって来てもらうのか秘訣を尋ねると「ただ、声をかけ続けるだけ」と笑う。 「顔を見たら、今度は来てねとか、自分達の町がこうなったら嬉しいんだとか、とにかく話かける。簡単やし地道な作業やけど、普段から話す機会を作っておくと、反応が全然違うんですよ。気持ちが相手にも伝わり、お互い近づけるんだと思います」 話しかけることで、心の距離は縮まる。新熊さんの呼びかけに応え、少しづつだが、若者達が地域の集まりに参加するようになった。

見直しも必要

地域で活動する中で、疑問を感じた時は、従来のやり方を見直す時もある。例えば、毎年水利組合で草刈りをしているが、みんなで1日中草を刈り、終わるころにはクタクタになった。この大変な作業を、次の世代に引き継ぐわけにはいかない。新熊さんは法面(※)草刈機の導入を提案し、一昨年、話し合いのすえ購入に至った。 「恒例行事は毎年同じ方法でやりがちだけど、大変な作業は楽に出来るよう工夫したい」と語る。 子供たちにお菓子をふるまう「地蔵盆」のイベントでも、昨年は新たな取り組みをおこなった。毎年、金魚すくいとヨーヨーを出店していたが「いつも同じ内容でつまらない。今年は新しいことをやろう!」と、かき氷とアートバルーンに挑戦した。地域住民や子ども達にも大好評で、今年もイベントを心待ちにしている。 (※)法面…切土や盛土により作られる人工的な斜面のこと

地域を一つにまとめる

「自分の生まれた町が、どんどん静かになっていくのは寂しい。どんなことが出来るか分からないけど、これからもイベントなどで盛り上げて、地域を元気にしていきたい」 自分のことよりも「子ども達や若い担い手のために何かしたい」と語る新熊さん。失われつつある繋がりを復活させ、地域を一つにまとめて頂きたい。

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