main_img

笑顔の実り。vol.048

まつうら としやさん|57歳

羽曳野市 飛鳥 松浦 利弥さん

産地を守るのは 後継者

IMG_4089

剪定は奥が深い

子供のころ、松浦さんは両親の農作業を手伝うのが嫌だったそうだ。 「畑が嫌いでね。農業を継ぐ気もありませんでした」と、当時を振り返る。 そんな松浦さんだが、12年前に経営していた石材店を長男に任せたことがきっかけで、ブドウ農家を継ぐことになった。同級生が農業を行っていたのも、追い風になった。 「デラウェアを中心に栽培しています。ブドウは夏に収穫が終わるので、これからは肥料を置いたり、剪定の作業を行います。12月10日頃まで、約40日も枝を切り続けるので、大変ですよ。ハウスの中でずっと上を向いて作業するので、とにかく身体が痛いです」 実際に剪定作業を行いながら、松浦さんは笑顔で話してくれた。何気なく枝を切っているように見えるが、剪定は奥が深い。全体に栄養が行き渡るよう、無駄な枝を1本1本切っていく。枝を切り過ぎると収穫量が減り、残し過ぎると良いブドウが出来ない。1本の木にブドウを何キロ実らせるか、長年の勘を頼りに調整していく。一見地味だが、ブドウの成長には欠かせない作業だ。

良いものを作れば売れる

「今は量より質で、良い農産物しか売れない時代です。おいしいだけではダメで、見た目と味も重要。市場へ出荷する時は、サイズ・色・糖度に細心の注意を払っています」 飛鳥出荷組合の副組合長を2年間務めていた松浦さん。出荷場の検査を厳しくし、より良い農産物の提供に尽力してきた。おかげで、クレームの数が大幅に減り、市場から高い評価を得ている。南河内産のブドウへのニーズは、年々高まっている。 「出荷で辛いのは、自分で値段がつけられないところ。相手の判断にゆだねるので、いくらで売れるか予想できません。でも、良いものさえ作れば、いくらでも買い手はある」 来年も高品質のブドウを消費者の元に届けるため、5月の出荷を目指して栽培に励んでいる。

IMG_0913

IMG_4096

シャインマスカットへの挑戦

松浦さんは、昔と比べ若者の「果物離れ」が進んでいると危惧している。毎日の食事で、野菜や肉は欠かせないが、果物は無くてもなんとかなる。また、皮をむいたり種をとるのが手間で、果物を敬遠する人も多いそうだ。 そんな流れに対応するため、松浦さんは8年前から大粒高級品種「シャインマスカット」の栽培を始めた。実が大きくて甘く、皮ごと食べられるのが特徴だ。 「種ありのブドウが品種改良で種無しになり、今は皮ごと食べられるブドウが登場した。消費者のニーズに合わせ、より手軽に、すぐ食べられるよう、ブドウもどんどん進化しています」 シャインマスカットは全国的に人気があり、管内でも栽培が増えている。JA大阪南では出荷希望者を募り、今年の7月下旬から8月初旬まで、シャインマスカットの試験出荷を行った。松浦さんも参加し、来年の本格的な出荷を目指し、出荷規格など話し合っている。産地化が進めば、シャインマスカットが南河内の新たな特産品になるかもしれない。 「シャインマスカットは、木を育てるのに3年かかるなど、手間のかかる品種です。でも、全国的なニーズがあるので、これから出荷量は増えるでしょう。来年の出荷を目指して頑張ります」

産地を守るのは後継者

最近、松浦さんの住む羽曳野市飛鳥では、耕作放棄地が増えてきた。 「昔は130軒あったブドウ農家も、今は64軒しかなく、出荷量も半分になりました。近隣農家の平均年齢も70代になっています。人の手が入らなくなったブドウ畑は、数年で山に戻ってしまうので、見ていて悲しいですね」 松浦さんは、かつてブドウ畑があった場所を教えてくれた。その中には、木々が生い茂り、荒れ果てたところもあった。 最近では、大阪府環境農林水産部 農の普及課が中心となり、農家、羽曳野市、JA大阪南が連携して、ブドウの就農支援を行っている。松浦さんは「個人の力だけでは、産地を守るのは難しい。JAや市が力を入れて、地域をリードして欲しい」と話す。 「新規就農者をしっかりサポートすることが大切。何かあればすぐ畑に行けるよう、地域に住んでもらわないといけないし、農機具を置く作業場や営農指導員の力も必要です。暮らしをサポートして、農業の支援体制を整えないと」 後継者不足を巡る問題は、まだまだ課題が山積みだ。それでも、産地を守るのは後継者であることは間違いない。松浦さんの愛する羽曳野市のブドウ畑を未来に残すため、やるべき事は沢山ある。

JA大阪南

JA大阪南 〒584-0036 富田林市甲田3丁目4番10号 TEL:0721-25-1451

Copyright (C) JA-OSAKAMINAMI. All Rights Reserved.