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笑顔の実り。vol.055

たもり としかずさん|66歳

堺市美原区黒山 田守 敏一さん

古代米の魅力アップ

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地域の特産品を作る

今から8年前、田守さんは堺市美原区と区民が協働でまちづくりに取り組む「美原 未来・まちデザインひろば」に参加した。当時、美原区PRの材料として区職員が提案したのは、地元でほとんど作られていない古代米。古代米とは、古代に作られていた稲の特徴を残した米のことだ。美原区には国の史跡に指定されている「黒姫山古墳」がある。古墳の近くで古代米を作れば、地域のブランド化に繋がるかもしれない。こうして生まれたのが「美原区古代米プロジェクト」だ。田守さんはメンバーの一員として参加し、地域住民を対象とした田植え&稲刈り体験の実施、古代米を使用した商品の開発など、活動のすそ野を広げてきた。 プロジェクトが軌道に乗り始めた昨年の秋、田守さん達は販売やPRだけでなく、古代米の栽培を含め区民が担う任意団体「美原の古代米プロダクツ」を立ち上げた。 「美原の古代米プロダクツ」の代表は、初期から活動に関わってきた田守さんが務めている。メンバーは6人で、全員が小学校の同級生だ。 「学校を卒業してから別々の道を歩んでいた6人が、この年になって偶然集ったんです。不思議な縁ですよね」 なごやかな雰囲気の中、活動を続けている。

古代米作りの難しさ

メンバーのうち、田守さんと副代表の奥野嘉久(おくの よしひさ)さん・松本律夫(まつもと りつお)さんは子どもの頃から実家の農作業を手伝ってきたので、米作りには慣れている。しかし、古代米となると話は別だ。 「古代米作りを始めるとき、大阪府立大学に教えてもらい『あさむらさき』という品種を植えたんです。でも、東北地方の米なので大阪の気候と合わず、色々な問題が発生しました」と、田守さんが当時を振り返る。 大阪では一般的に6月に田植えを行うが、「あさむらさき」は寒い地域で多く栽培される早稲(わせ)のため、早めに稲を植える。他の稲よりも実るのが早いので、集中して鳥に狙われ、スズメなどに食べられてしまうのだ。結局、初年度の採れ高はわずか1割ほどだった。 また、古代米は他の米よりも収穫に時間がかかる。コンバインで収穫したり、乾燥機にかけるとき、他の品種の米が混ざる恐れがある。そのため、古代米専用の農機具が必要だ。真っ黒な古代米に白い米が混ざるとすぐに分かるので、かなり気を使うそうだ。 「毎年失敗はありますが、品種を変更したり、少しずつ工夫することで、収穫量は上がってきています。でも、普通の米より採れ高は低いのが現状。まだまだ工夫が必要ですね」と、副代表の奥野さんは語る。 共同で育てている田の管理は、主に奥野さんが行っている。みんな自分の家の田植えや稲刈りもあるので、日程の調整や時間の確保が大変だ。

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知名度アップのために

今育てている古代米の品種は「西海観(さいかいかん)」「紫丹(したん)」「アカモチ」「さよむらさき」の4つだ。西海観とアカモチは赤っぽい色の穂をしており、紫丹は苗が黒い。全てもち米で、食べるときは1合の白米につき10グラムの古代米を混ぜて炊く。モチモチの食感と、プチプチした歯ごたえが特徴だ。 これまで、料理教室で古代米を使用したり、地元の飲食店で古代米を使ったメニューを作ってもらったり、地道に取引先を増やしてきた。今までは「美原 未来・まちデザインひろば」のメンバーが中心に進めてきたが、今は田守さん達が販売推進を行っている。時には飛び込みで営業に行くこともある。 「必ず古代米のサンプルを渡し、実際に食べてもらっています。美味しかったら使って下さいと伝えると、かなりの確率で採用してもらえます」と、副代表の松本さんは話す。 最近では、飲食店のほうから「古代米を使った地元限定のメニューを作りたい」と問い合わせが来ることもある。美原区の特産品として、古代米の知名度は着実に上がっている。

みんなで作る古代米

5月下旬の某日、メンバーが田植えの準備を行うと聞き、取材させて頂いた。この日集まったのは、田守さん・奥野さん・松本さんに加え、美原区と「美原の古代米プロダクツ」が共同で開催している農業塾の塾生たち。古代米を育てる技術を区民に伝えるため、座学だけでなく、実際に圃場で農業を体験してもらいながら栽培方法を伝えている。 田に肥料をまいた後、塾生たちが順番でトラクターに乗り込んだ。初めての人も多いので、機体が揺れるたび叫びながら、みんな楽しそうに操縦している。農作業に慣れたメンバーが田を耕したほうが、確実に作業は早く終わる。しかし、次世代にこの取り組みを繋いでいくためには、時間がかかっても、皆で作ったほうがいい。 「私たちは仕事を退職して時間があるから、大変だけど活動出来る。でも、古代米を地域に根付かせるためには、塾生や区民の力が必要。みんなを巻き込んで、稲刈りや田植えなど、農作業に触れる機会を提供しています」 美原区の古代米が、大阪で、日本で、いつかは世界で有名になる日が来るかもしれない。そのために、これからも一歩ずつ、地道な活動を続けていく。

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