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笑顔の実り。vol.056

たにぐち ひとしさん|72歳

富田林市須賀 谷口 均さん

先駆者になれ

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土地の歴史 家族の歴史

谷口さんが調べたところ、富田林市の須賀地区が農地として開かれたのは、今から300年ほど前だそうだ。機械がない時代、手作業で新たに土地を開墾するのは、どれほど大変だったのだろう。特に、須賀地区は近くに川がないので、池から水を引くしかない。水源を確保するのは大変だったろうと、昔に思いを馳せる。 「うちは祖父の代まで専業農家。家族の話では、水不足のときに雨ごいをしたことがあるそうです。今では考えられませんよね」 そんな大変な中でも、家族は農業を続けてきた。専業農家の祖父は必死に家計を支え、父親は会社で働きながら、時間を作って畑を耕した。谷口さんも中学生のころに父親を亡くすと、当然のように畑に出た。 「社会人になると忙しく、田畑に行く機会が減りましたが、農地を守り、引き継いでいこうと考えていました」 谷口さんは、この地に暮らしてきた人達が苦労して開墾し、家族が守ってきた農地を、自分の代で無くすわけにはいかないと考えている。

後継者がいない

これだと決めたら、谷口さんはすぐに行動に移す。スピーディーな決断力は、会社員のころ出向先の中国で養われたと話す。 「大学卒業後、ガス会社に就職しました。最初は営業をしていたのですが、自社のカセットコンロを東南アジアで売るため、中国で工場用地を探してこいと上司に言われました。そこで中国に渡り、計5年ほど暮らしたんです」 ボロボロのタクシーに乗り、文化大革命後の現地を飛び回る中で感じたのは、中国の逞しさとスピード感だ。近年の中国は、少し目を離すとすぐに新しい建物が建ち、貧しかった農村が都市に生まれ変わる。毎日、めまぐるしく環境が変化していく。 「そんな状況に慣れていたので、定年退職して地元に戻ってきたとき、時間の流れが遅いことにガッカリしました。古いやり方に縛られず、もっと変化し、新しいことに挑戦すべきだと思ったんです。地元で色々な改革をやらせてもらいました」 谷口さんは数年前、須賀地区の実行組合長を任されたとき、地区の農家にアンケートをとることにした。農家について知らなければ、長として務めを果たすことは出来ないと考えたからだ。「どんな作物を作り、どこに出荷しているのか?」「後継者はいるのか?」など、アンケート用紙を作って農家を回った。その結果分かったのは、予想以上に農家の高齢化が進み、農業を継続するのが難しくなっていることだった。 「お子さんがいなかったり、営農を継ぐ意思がないと、農地を誰にも引き継げません。多くの人が将来的に農地をどうすれば良いのか悩んでいることが分かりました」 後継者のいない農地をどうやって地域で守っていくのか?須賀地区の抱える問題が浮かび上がってきた。

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問題解決のために

後継者不足を解消するのは難しい。それでも、このまま放っておけば事態は悪化するばかりだ。谷口さんは地元農家が情報交換できる場を作ることにした。当JAも協力し、まず地区の懇談会を開催した。さらに、農業委員会や大阪府農と緑の総合事務所、富田林市の農業振興課などが今年の1月、須賀地区に集まった。大阪の農業は今どうなっているのかなど、最新の情報を仕入れるだけでなく、皆がざっくばらんに意見を言いあった。 「沢山の人が協力してくれたおかげで、地域の問題について、みんなで考える良い機会になりました。こういった場はこれからも作っていきたいですね」 農地を外部の人に貸し出すことも、最近始めたことの一つだ。谷口さんは民間の社会人向け農業大学が実習地を探していることを知り、すぐに話を聞きに行った。契約は順調にまとまり、長い間休耕地になっていた田畑などを実行組合が取りまとめ、貸し出すことになった。 「農地を誰かに使ってもらえるのは良いこと。それに、実習で若い人が来てくれると町が元気になる。もしかしたら、須賀地区で農業を始めてくれる人がいるかもしれません」 貸し出した畑には最近、ビニールハウスができた。30~40人ほどの実習生が、そこで農業のノウハウを学ぶ。谷口さんも時々、実習の様子を見に行くそうだ。住民の高齢化が進む町に、少しでも若者が増えて欲しいと願っている。

先駆者になれ

地域の問題を解決するため汗をかく谷口さんに「別に今まで通りでもいいじゃないか」と言う人もいる。 それに対し谷口さんは「どんどん周りの環境は変化するので、自分も変わらないと追いつけなくなる。だから、先駆者の後を追随するのでなく、すぐに課題に取り組まなきゃダメなんです」と話す。 須賀地区の農業を未来に繋げるため、先駆者として谷口さんの挑戦は続く。

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