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笑顔の実り。vol.060

やなぎした やすひろさん|58歳

堺市美原区 今井 柳下 恭浩さん

対等な立場で築く

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人生の転機

学校を卒業した後、柳下さんは米の卸事業を営む会社に就職した。毎日忙しく働き、順調にキャリアを積むなか、転機が訪れたのは33歳の時だ。病気になり、急に仕事を休まざる得ない状況に追い込まれた。手術し、病気と闘いながら考えたのは「人生は一度きり」ということ。それまで会社で働くことしか考えていなかったが、自分の人生について考えるうち、今とは違う仕事をしたいと思うようになった。そうと決まれば、行動あるのみだ。体を休め、なんとか病気を完治させると、会社を退職した。新たな人生のステージに選んだのは、慣れ親しんだ農業だった。 「全く知らない世界に飛び込むより、知識や経験を活かせる農業を仕事に選びました。小さい頃から親の農業を手伝っていましたし、前職の仕事でスーパーや米屋に米を販売する仕事をしていたので、米の売り先には困らないと思ったんです」 現在に至るまで、水稲を中心にコマツナ、ホウレンソウ、ハクサイ、キャベツなど野菜を育てている。

理想のお米の味は?

お米の好みは様々だ。地域によって品種が違うし、人により味覚も違う。だから「美味しい米の基準」を示すことは難しい。それでも、米作りを続けていると「これだ!」と思う味に出会うこともある。 「あくまで自分の基準ですが、理想の味は、適度に硬さと甘みがあり、口当たりの良い米。収穫したら、必ず食味計ではかり、自分の舌で米の味を確かめます。思い描いた通りの味に仕上がったときは、なんとも言えない喜びがありますね」 反対に、上手くいかない年もある。農業は自然に左右されやすいが、特に1993年の冷害は、100年に一度と言われるほどの大不作だった。日照不足と長雨による影響で大きな被害があり、全国的に米が足りなくなったほどだ。柳下さんの米も上手く育たず、取れ高はわずか3割ほどに落ち込んだ。 「昼と夜の寒暖差がないと、虫が発生しやすく米の成長に良くないんです。毎年作っていても、その年によって何が起きるか分からない。米作りは奥が深いです」

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対等な立場を築くこと

柳下さんは平成14年から15年以上、当JAのオペレーター部会に所属している。機械が好きなので、会社勤めの頃から、近隣農家の田植えや稲刈りを請け負っていたそうだ。部会に入って良かったのは、様々な人と出会えたこと。毎年依頼のある顔なじみから、初めましての方まで、依頼人と話をするのを楽しみにしている。 「一期一会で、出会いを大切にしています。オペレーター作業がきっかけで、何十年も付き合いが続いている人もいます。ありがたいことです」 オペレーターの仕事を請け負う上で大切にしているのは、依頼人と対等な関係を築くこと。「やってあげている」とも「やらせて頂いている」とも思わない。「請負人はきっちり仕事をし、依頼人は労働の対価を支払う」という、当たり前のことを大切に作業している。どちらかが上の立場に立つと、余計なストレスが溜まるばかりで、仕事は長く続かない。 「長年オペレーターをしていますが、年々米を作る人が減っており、請け負う数も少なくなっています。農業だけで食べていくのは難しいので、後継者がいないのも仕方がないですね。でも、地域に農地は必要だと思うので、JAが中心になり農地の委託管理を進めて欲しいです」

安ければいいのか?

今後の目標は、新規顧客を開拓すること。有機栽培に挑戦し、オーガニック食品を取り扱うスーパーへ出荷することも考えている。 「安全で良いものを、安く買おうというのは無理な話です。安全で良いものを作るためには、普通の農業よりも手間がかかりますから。オーガニックやエコにこだわる方は高くても良いものを買いたいと思っています。そういう客層の方に買って頂けると、農家の苦労も報われるんじゃないかな」 消費者は安さを一番に考えがちだが、本当に良いものには、それなりの手間がかかっていることを忘れないようにしたい。価格のみを追い求めると、良い商品は消え、粗悪な商品が生き残っていく事態に繋がりかねない。そうなれば、食の安全も揺らいでしまうはずだ。 「あなたの野菜はいくらですと、第三者に決められる立場だと安く買い叩かれてしまいます。オペレーターの仕事でもそうですが、自分で労働の対価に値段をつけ、相手と対等に取引が出来る関係を築くことが、これからの農業で大切になるのではないでしょうか」 対等な立場を築くことが出来れば、気持ちよく農業を続けていけるはずだ。

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